『オギュスタン・クルノと経済モデル』

Augustin Cournot : Modelling EconomicsJean-Philippe Touffut編

Edward Elgar 2007

執筆者:Robert J. Aumann, Alain Desrosières, Jean Magnan de Bornier, Thierry Martin, Glenn Shafer, Robert M. Solow, Bernard Walliser

この豊かで魅力的な論文集は、オーギュスタン・クルノが幅広い教養を持った強力な思想家であったという名声を確立するのに大いに貢献するものである。クルノの膨大な業績は、彼に関して広く知られている寡占モデルをはるかに越え、多岐に渡っている。クルノはただ単に数学者というだけでなく、エピステモロジーや科学の本質に関する哲学上の議論に積極的に参加した人物であったことが明らかにされている。スミスに始まりマーシャルから現在のノーベル経済学賞受賞者達に到るまで、現代経済学の発展は英語圏に限られるという先入観に捕われている人は、この著作において詳細に光を当てられたクルノの業績を見て驚きを禁じ得ないであろう。  – Geoffrey M. Hodgson, ハートフォードシャー大学, UK

「オーギュスタン・クルノがもっと長生きしていれば、ノーベル経済学賞を受賞する機会が少なくとも三回はあった」とノーベル賞経済学者のロバート・オーマンは2005年クルノセンターでの講演会の最中に述べた。

初期の著作の頃から既に、クルノは数学によるモデル化を社会の領域に適用するという試みによって、先人達の伝統から隔絶していた。従って、彼は社会現象の数理化を本質的な原理として打ち立てた最初の人物ということになる。クルノの業績が豊穣なのは、このような試みに端緒をつけたからだけではなく、20世紀の社会科学潤すような強度を持っていたからでもある。この論文集において、ノーベル賞経済学者2人を含む執筆者達は、クルノの深い革新性、そして産業経済学・数理経済学・市場競争・ゲーム理論・統計学におけるプロバビリティ(蓋然性)のエピステモロジーとクルノの研究を繋ぐ連続性にスポットを当てている。7人の著者のそれぞれが、数学者、科学史家、哲学者、そして特に経済学者としてのクルノの思想の力強さと現代性を指摘している。エピステモロジー的パースペクティウ゛と理論的パースペクティウ゛を組み合わせることによって、この本は経済学、経済思想史やエピステモロジーの分野の研究者と学生にとって極めて興味深いものとなろう。